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大阪地方裁判所 昭和50年(わ)3066号 判決

一、本店所在地

大阪市天王寺区生玉寺町四番地

商号

中本商事株式会社

代表者氏名

中本一雄

二、本店所在地

大阪市天王寺区生玉町五四番地の五

商号

中本観光株式会社

代表者氏名

中本和子

三、本籍

大阪市南区竹座町一九番地の五

住居

同市天王寺区生玉寺町四番地

職業

会社役員

氏名

中本一雄

年令

大正一五年三月一二日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官藤村輝子出席のうえ審理を遂け、次のとおり判決する。

主文

被告人中本商事株式会社を罰金二六、〇〇〇、〇〇〇円に、

被告人中本観光株式会社を罰金七、〇〇〇、〇〇〇円に、

被告人中本一雄を懲役一年六月に

各処する。

被告人中本一雄に対し、この裁判確定の日から四年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人中本商事株式会社は、大阪市天王寺区生玉寺町四番地に本店をおき、ホテル(同伴旅館)業「ホテル・マイアミ」を経営するもの、被告法人中本観光株式会社は、同区生玉町五四番地の五に本店をおき、前同業「ホテル・ニユーヨーク」を経営するもの、被告人中本一雄は、右中本商事株式会社の代表取締役右中本観光株式会社の取締役として、それぞれの業務全般を統括しているものであるが、被告人中本一雄は、

第一、被告法人中本商事株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

一、被告法人中本商事株式会社の昭和四六年一一月一日から同四七年一〇月三一までの事業年度において、その所得金額が一〇三、二〇六、六二七円で、これに対する法人税額が三七、六五八、八〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上の一部を除外し、これによつて得た資金を架空名義の定期預金にするなどの行為により、右所得金額中八七、七七四、七六四円を秘匿したうえ、同四七年一二月二〇日大阪市天王寺区堂ケ芝町一九四番地所在天王寺税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一五、四三一、八六三円で、これに対する法人税額が五、四〇一、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税三二、二五七、三〇〇円を免れ

二、被告法人中本商事株式会社の同四七年一一月一日から同四八年一〇月三一日までの事業年度において、その所得金額が九三、八八七、二〇一円で、これに対する法人税額が三四、二三〇、〇〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中六三、四七一、八六二円を秘匿したうえ、同四八年一二月一二日前記天王寺税務署において同税務所長に対し、右事業年度の所得金額が三〇、四一五、三三九円で、これに対する法人税額が一〇、九〇四、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税二三、三二六、〇〇〇円を免れ

三、被告法人中本商事株式会社の同四八年一一月一日から同四九年一〇月三一日までの事業年度において、その所得金額が八二、七二五、七七五円で、これに対する法人税額が三二、三六七、五〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中八〇、〇二九、五二四円を秘匿したうえ、同四九年一二月二七日前記天王寺税務署において同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二、六九六、二五一円で、これに対する法人税額が七五二、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税三一、六一五、一〇〇円を免れ

第二、被告法人中本観光株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

一、被告法人中本観光株式会社の同四六年九月一日から同四七年八月三一日までの事業年度において、その所得金額が三三、四八九、三五七円で、これに対する法人税額が一二、〇三四、八〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上の一部を除外し、これによつて得た資金を架空名義の定期預金にするなどの行為により、右所得金額中二九、四〇二、二四二円を秘匿したうえ、同四七年一〇月二一日前記天王寺税務署において同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四、〇八七、一一五円で、これに対する法人税額が一、二二九、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一〇、八〇五、二〇〇円を免れ

二、被告法人中本観光株式会社の同四七年九月一日から同四八年八月三一日までの事業年度において、その所得金額が三一、一四三、二九一円で、これに対する法人税額が一一、一七七、四〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中二一、四八四、六一〇円を秘匿したうえ、同四八年一〇月三一日前記天王寺税務署において同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が九、六五八、六八一円で、これに対する法人税額が三、二八一、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税七、八九五、八〇〇円を免れ

三、被告法人中本観光株式会社の同四八年九月一日から同四九年八月三一日までの事業年度において、その所得金額が二一、四七五、六〇九円で、これに対する法人税額が七、八六四、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中二一、四七五、六〇九円を秘匿したうえ、同四九年一〇月三一日前記天王寺税務署において同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が欠損三、四二六、五九二円で、納付すべき法人税額は無い旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税七、八六四、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人中本商事株式会社代表者兼被告人中本一雄、被告人中本観光株式会社代表者中本和子の当公判廷における各供述

一、被告人中本一雄の検察官に対する供述調書

一、同被告人の収税官吏に対する昭和五〇年二月二二日付、同年三月七日付、同月二〇日付、同年四月二日付、同月一八日付、同年五月一三日付、同月一五日付、同月二六日付、同年六月五日付、同年一〇月九日付各質問てん末書

一、収税官吏作成の告発書

一、収税官吏作成の昭和五〇年六月九日付調査書

一、幸福相互銀行九条支店長生地米蔵作成の確認書四通

一、同銀行東大阪支店長古沢喜八郎作成の確認書二通

一、同銀行堺支店支店長代理中田定夫作成の確認書二通

一、同支店長鳴神明作成の確認書五通

一、富士銀行難波支店次長小林輝夫作成の確認書

一、岡野美代子の検察官に対する供述調書

一、岡野美代子(二通)、斉藤昭、坂本洋子(三通)、中田定夫(三通)、藤原勝治、宮本敏男、小島智生、木村彰夫、鳴神明、長谷部尚の収税官吏に対する各質問てん末書

一、岡本トミコ、中本五一、岩崎好子、片山令子、石本薫、村上ヨシコ、登静江、梅村きよ子、探野久美子、各作成の回答書

判示第一、一、二、三、の各事実につき

一、被告人中本一雄の収税官吏に対する昭和五〇年二月二八日付1.同年三月二八日付、同年四月二三日付、同年五月八日付、同月一九日付、同年六月一八日付各質問てん末書

一、石本薫の収税官吏に対する質問てん末書

一、国税査察官大槻勝、収税官吏野村一夫(二通)各作成の調査書

判示第一、一の事実につき

一、収税官吏西岡清作成の脱税額計算書(昭和四六年一一月一日より昭和四七年一〇月三一日までの分)

一、天王寺税務署長作成の証明書(昭和四七年一二月二〇日申告の分)

一、押収にかかる中本観光株式会社元帳(自昭和四五年一一月至昭和四六年八月)一綴(当裁判所昭和五一年押第六号符号五)

判示第一、二の事実につき

一、収税官吏西岡清作成の脱税額計算書(昭和四七年一一月一日より昭和四八年一〇月三一日までの分)

一、天王寺税務署長作成の証明書(昭和四八年一二月一二日申告の分)

判示第一、三の事実につき

一、収税官吏西岡清作成の脱税額計算書(昭和四八年一一月一日より昭和四九年一〇月三一日までの分)

一、天王寺税務署長作成の証明書(昭和四九年一二月二七日申告の分)

一、今村正作成の確認書

判示第二、一の事実につき

一、収税官吏出島信彦作成の脱税額計算書(昭和四六年九月一日より昭和四七年八月三一日までの分)

一、天王寺税務署長作成の証明書(昭和四七年一〇月二一日申告の分)

判示第二、二の事実につき

一、収税官吏出島信彦作成の脱税額計算書(昭和四七年九月一日より昭和四八年八月三一日までの分)

一、天王寺税務署長作成の証明書(昭和四八年一〇月三一日申告の分)

判示第二、三の事実につき

一、収税官吏出島信彦作成の脱税額計算書(昭和四八年九月一日より昭和四九年八月三一日までの分)

一、天王寺税務署長作成の証明書(昭和四九年一〇月三一日申告の分)

判示第一、一、第二、一の事実につき

一、押収にかかる中本商事株式会社元帳(自45・11・14至46・10・31)一綴、同会社46年源泉徴収簿一綴、中本観光株式会社46年源泉徴収簿一綴、ニユーヨーク47年分源泉徴収簿一綴、46・9・30日分伝票(五ノ五)一綴、46・10・30日分伝票(三ノ三)一綴、46・11・22日分伝票(二ノ一)一綴(当裁判所昭和五一年押第六号符号一、九、一〇、一三、一五ないし一七)

判示第一、一、二第二、二の事実につき

一、押収にかかる中本商事株式会社元帳(自46・1・1至47・10・31)一綴(同年押同号符号二)

判示第一、第二の各二、三の事実につき

一、押収にかかる同会社元帳(自47・11・1至48・10・31)一綴、同元帳(自48・11・1至49・10・31)一綴(同年押同号符号三、四)

判示第一、一、第二、一、二の事実につき

一、押収にかかる中本観光株式会社元帳(自47・9・1至48・8・31)一綴(同年押同号符号七)

判示第一、二、第二、二、三の事業につき

一、押収にかかる同会社元帳(自48・9・1至49・8・31)一綴、定期預金確認予定表一綴(同年押同号符号八、一九)

判示第一、三、第二、二、三の事実につき

一、押収にかかる中本観光株式会社49年分所得税源泉徴収簿一綴(同年押同号符号一一)

判示第一、二、第二、二の事実につき

一、押収にかかる48年分源泉徴収簿一綴、47・12・4日分伝票(三ノ一)一綴(同年押同号符号一二、一八)

判示第一、三の事実につき

一、押収にかかる領収証、請求書、納品書、預り書一綴(同年押同号符号一四)

判示第一、一、第二、一の事実につき

一、押収にかかる中本観光株式会社元帳(自48・9・1至49・8・31)一綴(同年押同号符号六)

(法令の適用)

被告人らの判示各所為はいずれも法人税法一五九条七四条一項二号(法人の処罰につきなお同法一六四条一項)に各該当するところ、被告人中本商事株式会社の判示第一、一ないし三の各罪、同中本観光株式会社の判示第二、一ないし三の各罪はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により所定罰金額を合算した金額の範囲内で、被告人中本商事株式会社を罰金二六、〇〇〇、〇〇〇円に、被告人中本観光株式会社を罰金七、〇〇〇、〇〇〇円に各処し、被告人中本一雄については所定刑 いずれも懲役刑を選択し、以上の罪は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条、一〇条により犯情の最も重い判示第一、一の罪の刑に法定の加重をした所定刑期の範囲内で同被告人を懲役一年六月に処し、同被告人に対しては諸般の情状に鑑み、同法二五条一項一号を適用して、この裁判確定の日から四年間その刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

昭和五一年三月一日

(裁判官 橋本達彦)

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